Amazon 買い物や読書の方法を根底から変えてしまった会社。
私たちの生活からもう外すことのできなくなってしまったAmazonという会社の歴史と興隆、さらにAmazonを立ち上げた、ジェフベゾスとその周りの人々がインターネットと呼ばれる画期的なネットワークにかけた物語について書かれている。
ジェフ・ベゾスという男
ベゾスは誰からも学ぼうとし、貪欲に学ぶとても几帳面な人間である。現在でも有名な特徴的な癖や個性がアマゾンを創業する前の時代から続いている。例えば、子供のように話の途中で興奮したり、大笑いで会話を中断したりなどといった癖がある。あっただけでこの人と仕事がしたいと思われるようなエネルギーのある人物はなかなかいない。ベゾスはそのような人の1人である。
ベゾスはまたずば抜けた知識を持っており、データにもこだわりがある。
有名な話がある。
1993年1月から1990余年1月の1年間で、ウェブ上でやりとりされるバイト数は2057倍にも増えていた。データ量を表す別の単位、パケットについても、やりとりされる量が同時期に2560倍に急増していた。このような数字からベゾスはこの1年におけるウェブの成長を2300倍。つまり230,000%増と見積もった(正確にはこれは間違いなのだが)。
このような考え方からもベゾスがいかにデータを重視しているかがわかる。
またベゾスは資金調達をする際にも両親に語った失敗の確率が70%であると数字で説明をした。
相手を説得するにはデータが有効であることをわかっていたのだろう。
エブリシングストアという考えは最初からあったのだが、いきなり立ち上げるのは無理だと考えていた。
最初は20種類のリストから書籍を選んだ。無限の品揃えの第一歩を書籍に絞ったのだ。
その理由もとても素晴らしい。
理由として、
- 差別化と縁のない商品であるから、全く同じ本がどの店でも買えるので商品の質を心配しなくて良い
- 書籍は3,000,000点以上も存在しておりいくら大きな会社でもすべての在庫を持つ事は不可能であるから
当然これは大成功し、無限の品揃えの第一歩となる。
さらに、ベゾスはグーグルにも出資しており莫大な利益を得ている(これだけでも数百億は儲けているはず...)。これだけでも十分に先見の明があると言える 。
このような理路整然とした考えができる一方で、性格は難しいところもあったようだ。
多くの経営者には狂気じみた逸話が多い。それはベゾスも同じである。
公の場ではユーモアたっぷりの魅力的な人物になるが、社内では部下を頭から丸かじりするような勢いで叱り飛ばすらしい。圧倒的に成長するにはこのような狂気じみた素質が必要なのかもしれない。
ベゾスの圧倒的な洞察力、ずば抜けた知性とその理解力の高さと先見の明がアマゾンをここまでのし上げたのだろう。
Amazonの始まり
アマゾンは今では地球最大の書店、地球上で最大級の品揃え、ウェブ最大のスーパーストアなどと自称しているがもともとはニューヨーク高層ビル街のとある事務所で漂う1つのアイデアに出なかった。
アマゾンの最初の仕事場は社員全員で力合わせて改装したガレージだ。
これも有名な話だが、最初の机2つはホームセンター大手のホームデポから1枚60ドルで木製のドアをベゾスが手作りしたものである。大きな会社も地味なスタートを切っているのだ(ベゾスは倹約家でも有名)。
本書には色々な苦難や成功が書かれている。面白い話がとても多い。ここは是非買って読んでもらいたい。
Amazonの発明
Amazonは多くの特許を取っており、その中でもなんと、ベゾスが土下座した機能がある。それはレコメンドシステムだ。
購入履歴が似ている顧客をグループ化しグループ内の人にアピールするオススメ本を見つけると言う方法だった。
今ではショッピングをする際に当たり前になった機能だが、それはAmazonが開発している。
もう一つ、Amazonの発明で有名なのは、ボタンをクリックするだけで注文を完了できるシステムだ。 つまりワンクリックシステムだ。この"1-Click"と言う名前も商標登録され特許も取っている。
ワンクリックで商品が買えるのはAmazonだけというのはとても大きなことだと思う。Amazon以外で、ほぼ毎日買うような商品でもきっとワンクリックではできないはず。この手間を省くことはショッピングにおいてはとても重要な役割を果たしている。
そして宇宙へ。秘密の会社 ブルーオリジン
ベゾスは幼少期から宇宙に強い憧れをいだいており、「宇宙へ行くためにお金持ちになる」とまでで宣言している。
あらゆる起業家、発明家、お金持ちが宇宙を目指して開発を進めているがベゾスもその1人である。
イーロンマスクのスペースX社のように、あまり公にされる事は無いので知ってる人は少ないと思うが、ベゾスもまた、確実に宇宙を目指している。ブルーオリジンはそのための会社である。
もしかしたら今後テレビやニュースなどで見るかもしれない。"ブルーオリジン"この名前を聞いたらアマゾンを想像してもらいたい。
ところで、アマゾンが何の会社か知っているだろうか?
アマゾンは小売企業ではなくテクノロジー企業だ。
アマゾンウェブサービス(AWS)のと呼ばれるストレージをデータベース、処理能力といった基本的なコンピューターインフラストラクチャーの販売をしている。きっとウェブに携わったことがある人なら使ったことがあるだろう。Netflixなどの大企業もAWSを使っている。
アマゾンはクラウドソーシングの考え方をいち早く取り込んでおり、実際利益のほとんどはAWSが稼いでいて、小売は赤字である。小売に関しては利益率がとても低いので競合が減っていく。
AWSを使っていないとAmazonがテクノロジー企業だということは実感がわかないと思うが、何千社と生まれたスタートアップの中にはアマゾンのウェブサービスなしでは企業できなかったケースも少なくない。
Kindle誕生
ここでKindleの話が書かれている。電子書籍の始まりで、リアルな本を取り扱う出版社等との掛け合いがとてもおもしろい。私はここが1番面白かったと思う。
できれば紹介したいのだが、細かく書くと長くなってしまうのでここでは割愛する。ぜひ読んでみてもらいたい。
この本に出てくる雇われた人間たちはいちいち経歴が素晴らしく、いかにAmazonが優秀な人間を獲得してようとしていたかがわかる。それに集まってくる十分すぎる理由がAmazonにはある。
地球最大のストアを有しており、世界有数のテクノロジー企業でもあるAmazonは世界で1番面白い問題を解いてみたいと考えるエンジニアたちにとっては新たな魅力を持つ企業となった。これがAmazonに優秀なエンジニアが多く集まる理由だ。
そしてアマゾンが急成長していき、今ではGAFAとよばれ、Apple、Google、Facebookと肩を並べる企業になった。
きっとこれからもAmazonは拡大し続けるだろう。そしてAmazonの歴史はもっと複雑になっていく。過去を知ればきっとこれからのAmazonを見る目も変わるだろう。この本がきっとその手助けになってくれる。
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